労働法改正情報
【1】概要
- 健康保険法等の一部を改正する法律が令和4年1月1日に施行され、「傷病手当金及び任意継続被保険者制度の見直し」がされました。
- 今回はその中から「任意継続被保険者制度の見直し」について紹介します。
【2】改正のポイント
①任意の資格喪失
今回の改正により、従前の要件に加え、「任意継続被保険者でなくなることを希望する旨を保険者に申し出たとき」にも資格を喪失することとなりました。
任意継続被保険者の資格の喪失要件 |
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■追加された要件 任意継続被保険者でなくなることを希望する旨を保険者に申し出たとき |
■従前の要件 1.任意継続被保険者となった日から2年を経過したとき 2.保険料を納付期日までに納付しなかったとき 3.就職して、健康保険、船員保険、共済組合などの被保険者資格を取得したとき 4.後期高齢者医療の被保険者資格を取得したとき 5.被保険者が死亡したとき |
②健康保険組合における任意継続被保険者の保険料の算定基礎について
従前では算定基礎は下記(1)、(2)のいずれか少ない額とされています。
(1)「資格喪失時の標準報酬月額」
(2)「任意継続被保険者が属する保険者の管掌する全被保険者の平均の標準報酬月額」
今回の改正により、下記(3)を、(2)に代えて健康保険組合が規約で定めることができるようになりました。
(3)「当該健康保険組合における全被保険者の平均標準報酬月額を超え、資格喪失時の標準報酬月額未満の範囲内において規約で定める額」
任意継続被保険者の保険料の算定基礎について |
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(1)「資格喪失時の標準報酬月額」 (2)「任意継続被保険者が属する保険者の管掌する全被保険者の平均の標準報酬月額」 (3)「当該健康保険組合における全被保険者の平均標準報酬月額を超え、資格喪失時の標準報酬月額未満の範囲内において規約で定める額」 ⇒ (3)を(2)に代えて健康保険組合が規約で定めることができる |
【3】実務のポイント
全国健康保険協会管掌健康保険における算定基礎の取り扱いは、改正法によって変更は生じません。
退職者に案内する際には、今回の改正点に留意し案内をする必要があります。
なお、今回の紹介した改正に加え「傷病手当金の支給期間の通算化」も令和4年1月1日施行となっております。「傷病手当金の支給期間の通算化」についてはこちらのコラムにて解説しているので、あわせてご覧ください。
参考URL
厚労省より改正に関するQ&Aが公表されておりますので、こちらもご参照ください。
『傷病手当金及び任意継続被保険者制度の見直しに関するQ&A』(厚生労働省)
この記事を書いた人
平成29年入社 早稲田大学卒 大学卒業後は、ブライダル関連の上場企業でサービス業に従事。その後、エスティワークスに参画し社会保険労務士の資格を取得。丁寧な業務遂行と持ち前のトーク力で多くのお客様の信頼を得ている。