労働法改正情報
【1】概要
- 育児介護休業法の改正に伴い、 「全世代対応型の社会保障制度を構築するための健康保険法等の一部を改正する法律」が令和3年6月11日に公布されました。
- 育児休業中は届出により社会保険料が免除されますが 、令和4年10月1日から社会保険料の免除要件が改正されます。
- 今回は、育児休業取得に伴う社会保険料免除の改正案のポイントと、厚生労働省が公表した「育児休業等中の保険料の免除要件の見直しに関するQ&A」とあわせて具体的な取扱いについて、紹介します。
【2】法改正のポイント
①出生時育児休業制度について
今回の改正により通常の「育児休業」に加え「出生時育児休業」についても、社会保険料免除の対象となります。
②給与に係る社会保険料免除の取扱い
これまでは、その月の末日が育児休業等期間中である場合にのみ保険料が免除されていましたが、今回の改正によって、育児休業等開始日の属する月については、その月の末日が育児休業等期間中である場合に加えて、その月中に14 日以上の育児休業等を取得した場合にも、標準報酬月額に係る保険料が免除されるようになります。
*同月内に取得した育児休業等及び出生時育児休業による休業等は合算して育児休業等期間の算定に含めます。
現行制度 |
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改正案 |
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③賞与に係る社会保険料免除の取扱い
現行制度では、賞与保険料の免除を目的に、賞与月に育児休業等の取得が多いといった偏りが生じている可能性があると指摘されていました。この指摘への対応として、今回の改正では、連続して1ヶ月超の育児休業等の取得者に限り、賞与保険料の免除対象とすることとなりました。
現行制度 |
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賞与月の月末時点で育休を取得している場合は賞与保険料を免除 |
改正案 |
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賞与月の月末時点で育休を取得しており、なおかつ 1ヵ月超の育休を取得した場合に限り、賞与保険料を免除 |
【3】実務のポイント
出生時育児休業、育児休業の分割取得、育児休業開始日の柔軟化等の法改正により、育児休業の取得時期や取得期間はこれまで以上に多様化することとなりますが、パターンごとの保険料免除要件を把握し、対応する必要があります。
具体的な取扱いについて、厚生労働省より公表された「育児休業等中の保険料の免除要件の見直しに関するQ&A」から、実務におけるポイントとなる点を紹介します。
①標準報酬月額の保険料免除にかかる14日以上の免除基準について
Q.前月以前から取得している育児休業等について、最終月の月末まで育児休業等を取得しておらず、最終月に14 日以上の育児休業等期間がある場合、最終月の保険料は免除対象になるのか。 |
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A.14 日の要件による免除の仕組みは、開始日と終了予定日の翌日が同一月に属する育児休業等についてのみ適用する。 |
Q.出生時育児休業における就業日数については育児休業等日数の算定から除くとあるが、日単位ではなく、時間単位で就業した場合、どのように算定から除くのか。 |
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A.育児休業等日数の算定は、就業日数を以下の通りとして、それぞれ控除する。 (例)就業日数が時間単位の場合 |
②賞与にかかる保険料免除について
Q.連続して1月超の育児休業等の取得者に限り、賞与保険料の免除対象とするとしているが、1月は何日とするのか。免除対象となるのはどの月に支給された賞与か。 |
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A.暦によって計算する。また対象となるのは月末が含まれる月に支給された賞与となる。 |
Q.出生時育児休業における就業日数や一時的・臨時的な就労については賞与保険料にかかる育児休業等期間の算定から除かれるのか。 |
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A.出生時育児休業における就業日数及び一時的・臨時的な就労は除かない。 |
③連続する2つ以上の育児休業等について
Q.複数回の育児休業等が連続して取得されていた場合は、合算するのか。 |
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A.合算して育児休業等期間の算定に含める。 |
Q.休日を挟んで複数回の育児休業等を取得していた場合は、連続する育児休業等に該当するか。 |
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A.1つの育児休業等とみなす。 なおこの場合、育児休業等期間の算定に当たっては、開始/終了年月日は以下を用いて判定し、その間の育児休業等を取得していない休日等も含めるものとする。 |
参考URL
今回ご紹介したQ&Aの他にも公表されておりますので、詳しくは下記「育児休業等中の保険料の免除要件の見直しに関するQ&A」をご参照ください。
『育児休業等中の保険料の免除要件の見直しに関するQ&A』
この記事を書いた人
平成29年入社 早稲田大学卒 大学卒業後は、ブライダル関連の上場企業でサービス業に従事。その後、エスティワークスに参画し社会保険労務士の資格を取得。丁寧な業務遂行と持ち前のトーク力で多くのお客様の信頼を得ている。