社労士の雑学コラム

社労士の仕事とは?業務内容について徹底解説

2024.07.17

社労士の仕事とは?業務内容について徹底解説

社労士の仕事って具体的に何をしてるの?どんな相談に乗ってくれるの?特定社労士って聞いたことあるけど、普通の社労士とどう違うの?って疑問に思っている経営者の方、多いんじゃないでしょうか?今回のコラムでは、社労士資格や、業務範囲、更に、IPOを目指している会社の顧問社労士の仕事とは?といったさまざまな疑問について徹底解説していきたいと思います。

社労士の仕事とは?

社労士(社会保険労務士)は、厚生労働大臣に認可された国家資格に基づく、社会保険、労働保険の手続き代行プロフェッショナルであるとともに、労働法務の専門家でもあります。社労士がカバーする業務範囲は、主として「雇用」に関する法律の全般をします。労働基準法や労働契約法、労災保険法、健康保険法、厚生年金保険法など、その範囲は多岐にわたります。
その中でも、特に、使用者(企業)側のアドバイザーとして働く社労士は「顧問社労士」と呼ばれます。企業に代わって従業員の給与計算や入社・退職の手続きを代行するほか、法改正に伴う、就業規則の改定や、雇用全般に関するコンサルティングも行います。専門的なノウハウや最新の法令知識を使って、中小企業の健全な労務管理を支援するのが社労士の仕事です。

実際のところ、中小ベンチャーの労務管理はとても大変です。労働法や育児介護休業法などの社会保険に関する法律は頻繁に改正されるため、そのたびに規程や運用方法の見直しが必要となります。いつどの法律が改正されたのか?どのような対応が必要なのか、リソースも経験も足りない中小ベンチャー企業が、それらを網羅的にキャッチアップして対応していくことは不可能に近いと思います。

そうしたニーズにこたえるのが、顧問社労士です。顧問社労士は、最新の法改正や労務管理のトレンドに常にアンテナを張り、顧問先のニーズに応じたサービスを提供することが求められます。働き方改革、少子高齢化、副業推進など多様化する労働環境に企業が対応するためには、社労士の役割はますます重要になっています。企業が健全に成長し続けるために、信頼できる顧問社労士の存在が欠かせないのです。

社労士の仕事の具体的な業務内容とは?

労働保険・社会保険手続きの代行業務(社労士の仕事/独占業務)

労働保険(労災保険、雇用保険)や社会保険(健康保険、厚生年金保険)の手続きは、従業員の福利厚生や健康保険、年金などに直結する重要な手続きである一方、非常に高度な専門性とスピードが要求されます。例えば、新たに従業員を雇用した場合、年金事務所に対しては社会保険の資格取得手続き、ハローワークに対しては雇用保険の資格取得手続きを行う必要があります。どの役所にどの手続きをすればよいか正確に知っておく必要があるのです。

社労士は厚生労働大臣に認可された国家資格に基づく、労働・社会保険手続きの専門家であり、企業の依頼に応じて、各種手続きの代行をすることができます。社労士に労働・社会保険手続きをアウトソーシングすることで、企業と従業員の双方が安心して業務に専念できる環境を整えることができます。

なお、これらの業務は社労士法に基づく独占業務です。正確にいえば労働社会保険諸法令に基づき行政機関(主に労働基準監督署、公共職業安定所、年金事務所等)に提出する申請書、届出書、報告書その他の書類を作成すること、またこれらの申請書等の提出に関する手続を代行することについては、社会保険労務士法により社労士の独占業務とされており、社労士以外がこれらの仕事を業として受任することはできません。

社会保険関係の手続きは専門性が高く、知識と経験がないと、対応は難しいものです。このため、たとえ社労士資格を取得したとしても原則として最低2年以上の実務経験がなければ公式登録できないことになっています(但し、事務指定講習により代替可能)。社会保険手続きを社労士の独占業務とすることで、一定水準のスキルを担保し、企業の労務管理や行政運営を円滑にまわす狙いがあると考えられます。

給与計算の代行業務(ペイロール)

給与計算の代行業務(ペイロール)は、社労士の仕事の中でも最も重要な業務です。なぜなら、企業にとって給与の支払いは雇用契約の根幹をなす、もっとも重要な従業員との約束事であり、社労士はその一部を任されることになるからです。

給与計算業務には、

①従業員の勤怠を正しく反映すること
②所得税などの税金や社会保険料などの法定福利計算を適法に行うこと
③残業代や手当の計算を正確に行うこと
④銀行振込(ファームバンキング)データを作ること
⑤給与明細を作ること

など、いくつもの工程があります。

一見するとエクセルでもできそうに見えますが、実は給与計算の中身は非常に複雑な要素が絡み合っており、所得税や社会保険料の控除、社会保険料の算定、月変、残業代の計算、各種手当の支給や、中途入退社の日割など、多岐にわたる給与計算フローを組み合わせて行う必要があります。もちろん、給与計算に関する最新の法改正情報も常に把握し、それぞれの給与計算プロセスに反映させることが必要です。

また、給与計算システムを使いこなす操作ノウハウも必要です。給与計算システムの多くは、開発経緯と歴史により「癖」のようなものがあり、急に使いこなせるものではありません。このため、給与計算を代行する社労士事務所には、後輩への指導も含めて、そのシステムに精通したインストラクター級の知見を持つ社労士が数名は在籍している必要があります。

そして最も大変なことは、給与計算には締め日があり毎月支払い日までに処理しなければならないという絶対条件があることです。例えば、インソースの会社で自社の給与計算担当者が、引継ぎも行わずに急に休職に入ったり、退職してしまったらどうなることでしょう?

給与計算の担当者が休職しようが退職しようが、給与の支払日は毎月同じサイクルでやってきます。できませんでした、ではすまないのが給与計算です。このように考えていくと、給与計算業務は、企業の運営において非常に重要でかつ、デリケートな業務であることがわかります。デリケートな業務であるからこそ、依頼する企業側と受託する社労士の信頼関係がないと成立しないのが給与計算業務の特性でもあります。

いずれにせよ、良質な給与計算の委託先は、リソースの足りないベンチャー企業にとっては非常に強力なパートナーとなります。自社にあった委託先を見つけておきましょう。

労務コンサルティング業務(労働法務・労務管理全般)

社労士の仕事は、給与計算や社会保険手続きなどのアウトソーシング業務だけではありません。労働基準法や安全衛生法、労働契約法を始めとした雇用まわりの法律に関する専門家として、企業と顧問契約を締結し、企業が適正な労務管理を行い、法令を遵守できるようアドバイスを行います。

労務顧問を行う社労士の仕事としては具体的には次のような業務を行います。

①労務管理に関する相談業務全般
②就業規則の作成・改訂に関するコンサルティグ
③労使協定の策定に関するコンサルティング
④最新の法改正に対する実務対応のアドバイス

労働法令の改正は毎年のように行われます。顧問社労士はこれらの法改正の中から、顧問先に適用される法律を正確に把握し、取捨選択のうえ、対応実務についてアドバイスする必要があります。

また、法改正が実施される場合は、改正法の成立から施行日まで1年程度の助走期間がありますので、社労士は、その間に更新されていく行政のガイドラインや周知資料を見て、最新の情報を順次キャッチアップし、実務に落とし込んでいく必要があります。

最近ではハラスメントやメンタルヘルスに関するご相談も非常に増えました。これらの対応は非常にセンシティブで、かつ「初動」がとても大切な事案でもあります。

この点、日常的に勉強する習慣があり、判例研究をかかさず、そのナレッジを実務に活かせる感度の高い社労士であることがイコール優秀な顧問社労士であるといっても過言ではありません。それぐらい継続的な勉強と研究が大切な仕事です。

労務DD(デューデリジェンス)業務(IPO・M&A労務)

IPO審査やM&Aに向けた労務DD(デューデリジェンス)も、社労士の仕事の一つです。労務DD(デューデリジェンス)の内容や定義は社労士事務所によって異なりますが、一般にIPO審査やM&Aの買収判断など、客観的かつ法的に会社を点検する必要がある局面で必要とされることが多く、社労士はその中でも労務監査に関する重要な役目を担います。

但し、労務DD(デューデリジェンス)は、社労士試験や、通常の社労士業務には出てこないの分野の知見や経験も必要になってくるため、すべての社労士事務所が対応可能なわけではありません。

具体的には、IPOの労務DDでは、

①IPOの枠組みとトレンドに関する職域を超えた知見
②IPOにおける主幹事や監査法人の役割
③IPOにおける社労士の役割
④主幹事証券会社の引受審査の労務管理に関する想定問答
⑤東京証券取引所の本審査の労務管理に関する想定問答
⑥労務面でn-2からどのような点を重点的に対策しておくべきか
⑦未払い精算はいつ、どのような手順で行っておくべきか

などの実践的な知見や経験が必要となります。

M&Aにおいても同様に、

①M&Aのパターンに関する職域を超えた知見
M&A全体の流れと登場人物の役割に関する理解
③FA(ファイナンシャル・アドバイザー)のレギュレーション
④労務DDとディール前後の社労士の役割

などの実践的な知見や経験が必要となります。

特にM&Aはスケジュール感が個別バラバラなうえ、多くの場合は即時対応を求められるため、その時々の開示資料の範囲と、それに対して出来得る労務DDのスコープをしっかりと見極めて計画する必要があります。

このような知識と経験は、座学だけで身につくものではなく、多くの実例に立ち会う必要があるため、その専門性の高さから、本当の意味で労務DDを実践できる社労士事務所は多くはないのかもしれません。

労務DD(デューデリジェンス)に関するコラムはこちらから↓


労務DDとは?IPOで必要な労務デューデリジェンスのポイント

労務DDとは?IPOで必要な労務デューデリジェンスのポイントの詳細ページです。

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人事制度コンサルティング業務

社労士の仕事の中には、人事制度の設計や運用に関するコンサルティング業務を仕事もあります。これらは法令に基づく仕事ではなく、制度設計や、コンサルティングというカテゴリになりますので、「社労士だからできる」というよりも、個々の人事コンサルタントのスキルや経験に依存するものです。このためすべての社労士が人事制度のコンサルティングに精通しているわけではありません。

人事制度のコンサルティングでは当然のことながら社労士だけではなく、国内の大手人事コンサルティング会社や、外資系のコンサルティングファームまで多種多様なコンサルタントが存在します。

人事制度をきちんと整理するには多くの工数がかかるため、全体としてコンサルフィーが高額になる傾向がありますが、社労士は比較的リーズナブルかつ、中小企業やスタートアップが手の届く範囲で提案してくれるところが多い印象です。

企業規模の大小問わず、今なお議論の余地を残す人事制度ではありますが、個人的には人事制度のフレームはおおむね2つの制度から成り立っていると考えます。

1つは職務(職能)等級制度、もう1つは人事評価制度です。これらを報酬と結び付けるルールを人事制度と呼びます。(賃金制度と呼ぶ場合は等級制度と、同義の場合が多いのですが、この呼び方はコンサルタントによってそれぞれ差がありますのでご注意ください。)

人事制度は、従業員に目指すべきポジションを明示することができる、賃金を制度によってシステマティックに決めることで公平性を担保することができる、上司と部下が定期的にコミニュケーションをとる機会を作ることができる、といった様々な効能を持っておりますが、歴史上、さまざまな変化やトレンドがあり、企業の大小問わず、いまだ正解のない領域ということも特徴の一つです。

社労士の仕事の中でも、比較的属人的であり、専門性が高い仕事であると考えます。

個別労働関係紛争解決手続の代理業務(社労士の仕事・独占業務)

個別労働関係紛争とは少し難しい言葉かもしれませんが、労使紛争のうち労働組合のような集団的紛争ではなく、従業員個人と会社の間で発生する労使紛争という意味合いです。

かつての終身雇用時代では、企業と労働組合が集団的に労働条件を交渉することがほとんどでした。しかしながら非正規雇用(パートタイマー)の増加や、個別労働契約の増加、企業内労働組合の機能低下など、さまざまな要因により、労働者個人と企業が個別に争える時代へと移り変わっていきました。

インターネットにより個人が情報収集できる範囲が大幅に増えたことで、労働者者側の知識や法的なリテラシーが激変し、専門家や行政へのアクセスがしやすくなったことも大きな要因であると考えます。

こうした背景から、可能な限り裁判に発展する前に、都道府県労働局が裁判外での紛争解決援助をすることになりました。(労働局は本来、民事不介入が原則であるため、当事者間の民事案件となる労使紛争に対しては介入しないことが原則です。しかしながら、個別紛争の急増に伴って一部、国家資格を有する専門家と協力しながら紛争解決援助をしていこうという趣旨です。)

労働局の裁判外紛争解決援助は「助言・指導」「あっせん」です。「あっせん」とは簡単にいうと和解調整のことです。不当解雇や、不利益変更など雇用契約上の不利益変更を被った当事者が労働局の紛争調整委員会に申し立てることによって、解決援助がなされます。簡単にいえば労働局が当事者(労働者と企業)の間に入って、話し合いによって和解解決を目指すものです。

2007年には、社労士にも、弁護士の隣接士業として和解解決の一助となるように、特定社労士(特定社会保険労務士)制度ができました。特定社労士とは社労士が、厚生労働省の定める研修を経て、紛争解決手続き業務の試験に合格したうえで、正式に登録した社労士のことをいいます

特定社労士になると一定の条件下ではありますが、労働局の行う「あっせん(和解調整)」手続きについて当事者からの依頼があれば、その手続きを代理する(制限付き)ができるようになります。

「あっせん」における特定社労士の仕事は、紛争当事者の代理人としての手続きです。紛争当事者なので労働者側に立つこともできますし、企業側に立つこともできます。

私自身は企業側の顧問社労士として、さまざまな「あっせん」に関与してきましたが、弁護士のように完全な代理人として仕事をするというよりは、あっせん申請に対する回答案の作成や、アドバイス、担当者と同行のうえ顧問社労士として意見を述べるといった「サポート的な立場」で関与してきました。この制度に対して、どのようなスタンスでかかわるのかは社労士事務所それぞれの方針によると思います。

助成金申請代行業務(社労士の仕事/独占業務)

社労士が管轄する助成金は、厚生労働省の管轄といっていいと思います。助成金を中心に活動している社労士事務所もたくさんあります。そうした事務所は、企業が受け取れる可能性のある助成金について情報提供を行い、申請手続きを代行してくれます。助成金申請には、多くの書類作成や複雑な手続きが伴うため、専門的な知識と労力が求められます。助成金の申請代行をする社労士は、助成金の種類や要件を正確に理解していないといけません。

厚生労働省管轄の助成金のほとんどが、新規雇用の創出、または現在の雇用維持、労働者のキャリアアップ支援を目的としているため、受給要件もそうした条件下にあることがほとんどです。

このため、スタートアップが安易な感覚で「事業の運転資金」として受給しようとすると、受給時に要件にあてはまらないことがありますので注意が必要です。もらえるつもりで、資金繰りをしていたら受給できなかった、という事例はたくさんあります。また、仮にそうなった場合「要件を満たしているフリ」をして受給したら不正受給となります。

不正受給は非常に厳しく処分されます。企業名の公表や、返還請求もあります。当然、不正受給をほう助した社労士も重罪となります。社労士が新規の顧客の助成金を申請したら、会社が虚偽申告をしていて片棒を担がされてしまったという話も枚挙にいとまがありません。そういう意味では助成金の申請は、慎重に精査しながら進める必要があります。助成金は成果報酬でやる事務所が多く、営業をかければ依頼は比較的簡単にとれます。このため、駆け出し社労士がドアノックツールのように使うこともありますが、リスクの大きさについてはよく留意しておく必要があります。

社労士になるための方法

社会保険労務士試験に合格しなければならない

そもそも社労士になるにはどうすればよいか?というと、何はともあれ、まず社会保険労務士試験に合格する必要があります。この試験は国家試験であり、毎年一度、8月の第4日曜日に実施されます。試験は全国各地の指定された会場で行われます。

社労士試験の内容は、大きく分けて「選択式試験」と「択一式試験」の二部構成になっています。選択式試験は1科目5点満点、合計40点満点で出題され、穴埋め形式で回答します。一方、択一式試験は各科目において複数の選択肢の中から正解を選ぶ形式で、全70問が出題されます。試験科目は、労働基準法、労働安全衛生法、労働者災害補償保険法、雇用保険法、健康保険法・厚生年金保険法、国民年金法、社保一般、労働一般、徴収法の10科目です。この試験は合格科目を持ち越すことができません。すべての科目を合格ラインに乗せる必要があります。

社労士試験は非常に合格率が低く、例年6~7%程度とされています。もっと低い年もありましたが、概ねそのぐらいに合格ラインを調整している印象です。実際に受ける人は4万人ぐらいでしょうか。受験者数が多く、比較的女性の受験率が高いのも、管理部門のエキスパートであるこの試験の特長のひとつです。

社労士試験はそもそも試験科目が広範囲であり、記憶やひっかけが多い試験です。論述に強いだけで受かる試験ではありません。合格するためには、計画的な学習と記憶力が求められます。まずは、通塾しながらベースを作り、過去問を繰り返し解くことで見覚えのある問題を増やしいていくのが基本です。過去問を通して出題傾向を把握し、苦手な分野を集中的に学習することで効率的に準備を進めることができます。

また、体力勝負の試験でもあります。8月下旬という真夏の暑い日に朝から夕方までみっちりと試験があります。緊張しすぎず普段の力を出せるよう体調管理をしっかりと行い、当日全力で試験にのぞめるようにしましょう。


社会保険労務士試験オフィシャルサイト

社会保険労務士試験オフィシャルサイトです。社会保険労務士試験に必要な証明書、申込書などのファイルをダウンロードできます。また、試験に関する最新情報を掲載しています。

sharosi-siken.or.jp

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特定社労士試験とは何か

特定社労士とは、社労士が更に専門的な紛争業務に携われるよう業務拡張を行うための資格試験です。法的な位置づけとしては社労士の上位資格というわけではありませんが、わかりやすくいえば社労士がもう一段階、国家試験に合格するということです。ただし、社労士の仕事に関する業務拡張を目的としているため、合格率は社労士試験ほど厳しくありません。むしろ、社労士全員が受験し、受かってほしい試験でもあります。

特定社労士の資格を取得すると、前述した個別労働関係紛争解決手続のあっせん代理業務が行えるようになります。これにより、労働者と使用者の間で発生するトラブルの解決をサポートすることができます。

特定社労士の試験は、社労士試験に比べて、紛争に特化した専門的で実践的な知識が求められます。特別研修を修了した後に、試験を受け、合格すれば特定社労士として登録(付記)することが可能です。

特別研修は

① 紛争解決の専門知識を深めるための動画による講義

② 実際のあっせんの流れをつかむためのグループ研修

③ ゼミナール(質疑応答)

で構成されており、全ての講義を修了することを条件に、「紛争解決手続き代理試験」を受験することができます。こちらはマークシートではなく記述式の筆記です。

特定社労士は社労士の仕事を更に広げる業務拡張的な位置づけではありますが、学ぶことや、経験すること、身につくことは、普段の社労士の仕事に大いに役に立つと思います。

特定社労士の試験をきっかけに規範判例だけでなく、日々のニュースや判例への感度があがり、論点整理をする癖がつくようになると思います。

企業の頼れる労務コンサルタントとして活躍したい人にとって、特定社労士の資格取得プロセスは社労士として成長するための大きな糧になるでしょう。

社労士の仕事とキャリアパス

社労士の仕事をやる場合のキャリアパスは、大きく分けると「独立開業」と「勤務社労士」です。もちろん試験に合格した、という事実だけで就職や、昇格に良い影響を与える可能性があるかもしれません。 ちなみに、社労士を名乗るには社労士連合会への①開業、②勤務、③その他、のいずれかのカテゴリで全国社労士連合会に登録申請をして、名簿に登録されることが必須です。

たまに合格したということだけで、名刺に保有資格として記載している方も見かけますが、資格と登録はセットです。試験に受かっただけで「有資格者」と名乗ることはできませんので注意が必要です。

独立開業ができる

社労士になると独立開業ができます。独立開業の大きなメリット自由度の高さと天井の無い報酬です。自身のスケジュールや働き方を自分で決めることができるため、ライフスタイルに合わせた柔軟な働き方が可能です。また、収入面においても、クライアント数や契約内容によっては高収入を得ることができます。今まで会ったこともない経営者やコミュニティに出会うことで視座があがり、多くのかけがえのない経験と財産をもたらしてくれるはずです。

一方で、もちろんリスクも存在します。最初の数年間はクライアントの獲得や信頼関係の構築に時間がかかるため、収入が不安定になることが考えられます。また、営業や経理、マーケティング、クレーム対応など、業務以外のスキルも求められるため、多方面にわたる知識と努力が必要です。さらに、すべての責任を一人で負うことになるため、精神的なプレッシャーも小さくはありません。この点は社労士に限らず、独立するすべての人に言えることでもありますが、社労士の場合は、管理畑出身者で、営業未経験者が多いため、その分、独立のハードルが高いのかもしれません。

こうしたことから、社労士試験の塾の講師を兼業しながら開業する人も結構います。私は、開業当初から社労士1本でやってきましたが、現在は、副業推進やリモートワークの増加により兼業できる仕事も増えてきたので、自分の生活や家庭環境にあわせて無理なく独立する方法が見つかるかもしれません。

勤務社労士として活躍できる

勤務社労士として企業や社労士法人に所属する場合、「安定した収入を得ながら、社労士としての経験が積める」という大きなメリットがあります。特に、大企業や有名な社労士法人に勤務する場合、キャリアアップの機会や専門的なスキルの習得が期待できます。専門的なチームで働くことで孤独感を感じにくいのも特徴です。

しかし、勤務社労士にもリスクはあります。昨今はリモートワークや、フレックスも普及しましたが、勤務社労士が活躍する管理部門において、自分の意志だけで自由に動くことは難しいでしょう。これは、管理部門が会社において欠かせない重要な役目であるためいたしかたありません。

社労士の仕事まとめ

社労士としてのキャリアパスは多様であり、独立開業と勤務のどちらを選ぶかによって大きく異なります。自分のライフスタイルやキャリア目標に合った道を選ぶことが重要です。

独立開業を目指す場合には、圧倒的に「営業力」が必要です。開業何年かは人脈でうまくいったとしても、ずっとそれが続くと思うのは大間違いです。前線で活躍している社労士には必ず人を引き付けるだけの力、たゆまぬ努力と魅力があるのです。

また、未経験で勤務社労士として働くことができたならそれはかなりラッキーなことだと思います。そもそも、勤務しながら社労士の資格を活かせる人はそんなにはいません。

なぜなら、企業は労務部門の責任者にに関して、資格よりも実務経験を重視しているからです。私の知る限り最低でも3年程度の実務経験は求められることが多いと思います。未経験の試験合格者が大企業の管理部門に急に入れることは、ほぼないと考えた方がいいでしょう。とはいえ全くないわけではないので、探してみるのはよいと思います。

それぞれのメリットやリスクをよく理解した上で、自分に最適なキャリアパスを選んでいただければと思います。

IPOに強い社労士ならエスティワークス

写真:毎月行われている社労士会議の様子





エスティワークスは特定社労士が運営する労務コンサルティングのプロフェッショナルカンパニーです。

当社の主要顧客のほとんどがIPO(上場)を目指す企業、又は更にその先を目指すような成長速度の速いベンチャー企業です。その現場は、これからの日本をリードしていくベンチャー起業家たちの圧倒的な熱量と、臨場感にあふれています。

エスティワークスでは、「プロフェッショナルな社労士になりたい!」「プロフェッショナル社労士と一緒に働いてみたい!」という方を募集しています。気になる方は、ぜひ一度お話しましょう!

                       

採用情報|エスティワークス

エスティワークスの採用情報ページです。『社会に真に必要とされる仕事で、誇りをもって働きたい。そしてその過程で一生モノのスキルを身につけていきたい』そんな想いを持つあなたに、私たちの精鋭部隊の一員になっていただきたいと考えています。

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佐藤 貴則

この記事を書いた人

佐藤 貴則

株式会社エスティワークス 代表・特定社会保険労務士
明治大学卒業後、上場メーカーにて勤務。 最前線において管理職(ライン課長、プロジェクトマネージャー等)を歴任し、現場のマネジメントにあたる。平成16年に社会保険労務士資格を取得。その後、独立して株式会社エスティワークスを設立。平成18年に新たに開始された特定社会保険労務士制度 第1期合格のうえ付記。中小企業を中心に社内規程の整備、労務管理のコンサルティングを行う。 また、IPO(上場)労務分野に強みを持ち、これまでに大手アパレルEC系ベンチャー、AIベンチャーなど日本を代表する30社以上のベンチャー企業のIPO(上場)支援実績がある。