うつ病など精神疾患による長期休職の社員にはどのように対応すべきでしょうか?

2022.02.22

うつ病など精神疾患による長期休職の社員にはどのように対応すべきでしょうか?
QUESTION
Q
当社の社員が「うつ病」で頻繁に休むため業務への影響も勘案し、休職させることにしました。 半年ほど経過した先日、本人から連絡があり当面午前中のみの軽微な仕事を担当し、リハビリを兼ねて出勤したいと申し出てきています。あわせてリハビリ出勤を勧める主治医の診断書も送ってきました。 しかし、当社としてはいつ再発するかもわからないような状態では安心して顧客の業務を任せることもできません。どのように対応すべきでしょうか?
ANSWER
A

原則として休職期間満了時に、休職事由が消滅していない場合は復職に至らず自然退職扱いとなる。但し、医師の所見や本人面談を通じ、回復基調にあると判断される場合は、可能な範囲で猶予措置をとる。

 社員の病気が私傷病の場合は、就業規則の定めに従い休職の手続きを行います。休職の法的な性質としては、私傷病により労務の提供ができなくなった労働者について、本来は解雇とすべきところ、ただちに解雇するのではなく、一定期間の労務提供を免除して、治療に専念してもらい就労可能な状態に回復するのを待つという解雇猶予措置であると考えられます。

 このため、復職にあたっては、休職前の正常な勤務が可能な程度に全快している必要があり、休職事由が消滅していないと判断される場合は、復職に至らず自然退職扱いとなります。(但し、復職不能時の自然退職は就業規則に根拠を置くものであるため、規程上の定めがあることが必須条件となります。)

 さて、休職に関して労使間で最も争点になりやすいのが、この復職の条件です。本来は休職事由の完全な消滅を条件とすべきところですが、昨今の休職はメンタル疾患による事案が多く、復職時に判定しづらいものが多いのも事実です。

 メンタル疾患の復職判定にあたってはまずは診断書により主治医の所見を得ることになります。会社としてもこれを主たる参考材料とすることにはなりますが、主治医は患者とのコミュニケーションのみを判断材料として診断書を作成している場合が多く、会社の業務内容や心理的負荷に精通した産業医の意見も参考にしたいところです。復職後の業務に照らしてもなお、主治医の意見は変わらないのか?というところまで調整してはじめて精度の高い復職判定ができることになります。必要に応じて本人の同意を得て主治医と産業医の橋渡しをするのも人事部門の役割であると考えます。

 なお、リハビリ出勤の措置に関しては必ずしも必須ではありませんが、復職判定が難しいメンタル疾患においては、業務遂行が可能な程度に回復しているかを判断するために有効な措置であると考えます。その一方で「休職中に実施すべきか、復職後に実施すべきか」「休職前の業務をさせるべきなのか」など実務的な論点が多い制度なので、事前に専門家に相談しながら休職規程の整備を進めておくべきでしょう。

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